奥深き貨物の世界 国内唯一の「貨物鉄道博物館」
- written by
- グリーンクリエイティブいなべ
- #電車
- #三岐鉄道

鉄道文化を後世に残す。貨物鉄道博物館・南野哲志さん

博物館の立ち上げ時から携わる南野哲志さんは、運営を担うNPO法人 貨物鉄道博物館で、常務理事を務める。本業である建築の設計や建設模型を制作する傍ら、三岐鉄道に関わるさまざまな歴史を紐解き、鉄道文化を後世に伝えていくための使命を背負い日々活動する。



毎月1各界の開館日には、親子連れをはじめ、鉄道ファンがこの日を心待ちに、各所より集う。
南野さんをはじめとする運営チームとともに、ボランティアスタッフによる貨車の修繕作業が行われるほか、展示車輌のライトが点灯されたり、運転席に乗車できるなど、当時の生き生きとした鉄道の表情を垣間見ることができる。

南野さんと三岐鉄道の出会いは、必然であった。
父親が三岐鉄道の車輌整備士だったこともあり、自然と鉄道好きの少年に育った南野さん。やがて、沿線の学校へ通い、教室から見える三岐鉄道の列車に魅せられていく。
ある時、「三岐鉄道の全車輌を模型化しよう!」と思い立ち、車輌研究に打ち込むように。模型制作は現在、現存車はじめ過去車をあわせて、なんと100輌を超えるほど。南野さんの「得意」とすることで縁がつながり、今では三岐鉄道をはじめ、鉄道文化を支えるひとりである。

南野さんの車輌研究は、たとえるならば組み立てられたものを一つひとつていねいに分解していく作業でもある。
車輌の細かなすべてのパーツを分析し、どこでどのように製造されたものなのか、どんな材でできているのかなど、ネジ一つのつくりや繋ぎ目さえも、その背景を紐解いていく。

貨車のとある部分は、イギリスをはじめヨーロッパを中心に世界各国でつくられてきたということや、センチではなくインチを用いた計測方法であるなど、南野さんが初めて解明したことが数多くあり、ぜひ訪れて話を聞いてみたい。
日本の近代化を支えてきたと言っても過言ではない貨物輸送の歴史が、このまちには現代に至るまでしっかりと残っているのだ。
-
written byグリーンクリエイティブいなべ
- WEB
- 公式サイト
-
貨物鉄道博物館
- 住所
-
三重県いなべ市大安町丹生川中三岐鉄道三岐線丹生川駅前
- WEB
-
公式サイト
- TEL
- 0593-64-2141
- 営業時間
- 10:00−16:00
- その他
-
毎月第1日曜日開館。1月は第2日曜日開館
おすすめ記事。
-
- #夏
- #祭
- #阿下喜
いなべの奇祭、八幡祭。
真夏の阿下喜(アゲキ)に響き渡るサンヨ、サンヨの掛け声。 いなべを代表する祭のひとつ、阿下喜地区の大西神社を中心として行われる八幡祭 (はちまんまつり)は100年以上続くいなべ市指定無形民俗文化財の歴史ある伝統行事。 2...
-
- #夏
- #散策
- #花
あじさいの名所 − 万葉の里公園
青、ピンク、白。ふんわりと咲くあじさいの花。その数なんと6,000株。6月中旬、いなべ市北勢町の万葉の里公園で見ごろを迎える。 あじさいの名所として有名で、地域の交流空間としても活用されている。平日は保育園児の散歩コース...
-
- #文化
- #買い物
- #食
【特集】いなべのお茶を味わう ~いなべ石榑茶編~
いなべ市の特産品には「茶」があり、今の時期、新芽鮮やかな茶畑が里山を彩っています。鈴鹿山脈 石榑峠の麓で江戸時代よりつくられる「石榑茶(いしぐれちゃ)」は、山が恵む湧水と山麓特有の寒暖差で育まれるコク、香り豊かな風味が魅...