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~前編~ 季節を彩る境内で、風車に吹かれて叶いの神社「金井神社」

Written by
神谷かなこ

細い坂道を登った先に、華やかに彩られた神社が現れる。ひっそりと佇んでいた金井の地の氏神様は、コロナを機に変化を遂げた。季節ごとに訪れたくなるかわいい神社、そして願いが叶う神社として全国から多くの人が訪れる。
この場所でカラフルな風車に囲まれれば軽やかな気持ちになり願いが叶いそう。宮司の補佐にあたる権禰宜の小野杏奈さんを案内人に迎え、金井神社を紹介する。

コロナを機に変化を遂げた金井神社

「きっかけはコロナでした」
2020年に人々の生活を一変させたコロナ騒動。6月になると非常事態宣言が出て家から出かけることも許されない状況が訪れた。
「せめて屋外で神頼みをして明るい気持ちになっていただけたら」と始めたのが花手水だった。コロナ感染予防で柄杓を取り除き、手水鉢いっぱいに花を飾った。

花手水を発案したのは金井神社を代々継ぐ宮司の娘、小野杏奈さん。
小学生の頃から巫女として祭りの手伝いをしていた小野さんは「いろんな人と触れ合えるのがうれしくて」自然と神職を目指すようになり、大学で神主の資格を取得した。卒業後権禰宜として奉職し、結婚出産後も神職を続けている。

花手水を筆頭に、小野さん夫妻は、手作りで一つひとつ境内を飾っていった。7月には「風で悪いものを流して、また、風に乗って、願いが届くように」と風車と風鈴を飾る。
8月、夏になるとぶりきの金魚を飾った。懐かしいという声が多く聞こえ、いつしか金井神社のマスコット的存在に。
その後も、秋はもみじや銀杏、冬はお正月に行燈、春は桜、子どもの日の頃には鯉のぼりと、四季の変化とともに境内を飾る。それは人々の心を晴れやかにして、SNSでは華やかな手水鉢や季節を感じる境内が話題となり、休日は500人を超える人が訪れるようになった。
こうして神社の事務をおこなう社務所を開き、お守りや御朱印を置くようになり、いなべ市の新たな観光の要所となったのだ。

鎮座800年を迎えた金井神社

金井神社は、鎌倉時代1221年、天災や飢饉を逃れ豊作や安全を願うおうと伊勢神宮から主祭神天照大御を勧請し建てられた。戦国時代、織田信長に焼かれた後、江戸時代になると徳川に許可を得て新しく建て直した。
明治になると、近隣の金井、春日、金巌の三社を合祀。拝殿には菊の門、五七の霧、那須富士と3つの社紋が飾られる。
主祭神のほか、外宮の豊受比売大神、大山津見神(おおやまつみ)、大国主命(おおくにぬしのみこと)、火産霊神(ほむすびのかみ) 、武甕槌神 (たけみかづちのみこと)、天児屋根命(あまつこやねのみこと)、経津主神(ふつぬしのかみ)、比売神 (ひめがみ)、品陀和気命(ほんだわけのみこと)と多くの神が祀られ、オールマイティなご利益がありそうだ。
「火の神がいらっしゃるのは、この辺りが鋳造業で盛んであった土地柄のようで、この地らしさがありますね」と、小野さんは話す。

厳かな神明造りの建物

伊勢神宮と同じく神明造の厳かな建物は平成に建て直された。

天照を主祭神としているところから瓦などに菊の紋が見られる。

建物には神社でよく見られる獅子とともに獏(ばく)が掘られている。鼻の長いゾウのように見えるのが獏で、縁起の良い霊獣とされてきた。

2025年、巳年の今年は蛇石にあやかって

2025年は巳年であることから神社所有の「へび石」が飾られている。

このへび石は12年前に境内で見つかったそう。へびがとぐろを巻いたような形をしており縁起の良い石だとして大切に保存している。巳年の2025年の間は、拝殿に飾られたへびの卵を模した丸い石を授かることができる(初穂料500円)。

拝殿の横にあるのは、長尾堂稲荷。伏見稲荷から受けたとされる「正一位」という格式の高さが記された神社だ。金井神社とともに参りたい。
お参りをしたのちには、金井神社の風車の回る美しい境内の風景を楽しんでほしい。( 後編 へ)

Written by 神谷かなこ

新聞記者を経て取材・執筆業、出版社等で雑誌やwebメディア企画取材、書籍編集協力。
「歴史・文化・先人の知恵を次世代に繋げる」ことをテーマに、地方創生や伝統継承などの取材を重ねる。
いなべ市藤原町出身。

  • 金井神社

    住所
    いなべ市員弁町北金井911
    WEB
    公式サイト
    Isntagram
    @kanaijinjya
    TEL
    0594−88−5588
    定休日
    無し
    営業時間
    9:00~15:00
    駐車場
    有り
    その他

    (御朱印)
    時間:午前9時~午後15時   
    曜日:
    月、木、金、土、日曜日は御朱印帳への直接のお書入れ
    火、水曜日は書置き(和紙に書いた状態)でのお授けのみ。

2025.3.28