暮らしから紡ぐ旅のガイド。いなべ暮らしを旅する。

  • 食

飾らないパンが 人を惹きつける理由「魔法のぱん」

written by
清田若菜
photo by
清田若菜 / 八木萌子
  • #にぎわいの森
  • #買い物
  • #パン

お客さんとの距離が近い店でありたい

「魔法のぱん」で大切にしているのは、お客さんとの距離の近さだ。
パン屋では珍しいオープンキッチンで、製造中の二人の姿をすぐそばで見ることができる。

「お客さんと作り手の距離は、近ければ近いほど良い」と狩野さんは言う。

店頭ではお客さんから「ありがとう」と声をかけられることもあるという。
その一言が日々の励みになっている。
お客さんとの距離が近いからこそ、その日の空気も感じ取れる。

今日はどれくらいの人が来てくれそうか、どんな商品が求められているのか。
お客さんの様子を見て製造量を調整できるからこそ、フードロスが減る。
無駄が減れば価格も抑えられ、お客さんに喜んでもらえる。
それが良い循環になっていく。

「目の前のお客さんに喜んでもらいたい。そのために、昨日より今日、今日より明日、もっと良いパンを作れるよう一生懸命やり続けるだけ」

そんな狩野さんを、西川さんは「人に喜んでもらうことが、とてつもなく好きな人」と言う。

深呼吸したくなる森の中で、お気に入りのパンを

店頭に並ぶパンは約60種類

2019年にいなべで「魔法のぱん」がオープンして以来、西川さんはこの地ならではの魅力を感じている。
「思わず深呼吸したくなるんですよね。そんなに違うの?と思われるかもしれないけど、住んでみると全然違う」


そんな自然豊かな環境で働く西川さんには、想い描く店の姿がある。
「小さい頃から食べることが好きで。よく親にパン屋にも連れて行ってもらったんですけど、パン屋さんのなんとも言えない幸せな空間が好きでした」
その想いは、今も変わらない。

「パンに囲まれているような空間で、あっちを見てもパン、こっちを見てもパン。どれにしようかなって笑顔で迷いながら、香りも楽しめる。そんなワクワクするお店にしたかった」

幸せな空間のために、一つ一つのパン作りにも心を込める。

おすすめを尋ねると、西川さんは「ぶどうぱん、ですね」と答えてくれた。
生のブドウの食感に近づけるために試行錯誤を重ねてたどり着いたぶどうぱんは、「レーズンが苦手な人でも食べられる」と言われることが多いという。
「トーストしたぶどうぱんに、バターを冷たいまま少しのせて。パンの熱で溶け始めたくらいが一番おいしいと思います」

目の前の人に喜んでもらいたい。

シンプルだけれど揺るぎない想いと、そこから生まれる熱量がパンにも店の空間にも確かに宿っている。

飾らないパンが人を惹きつける理由は、きっとそこにある。


1 2
2026.7.24

おすすめ記事。

記事一覧をみるView all
記事一覧をみるView all